FC2ブログ

カナリアの気嚢ダニについて

大阪府 野生動物リハビリテーターのメーリングリストに、とても有益な情報が記載されていました。
中津先生の転載許可を頂きましたので、全文をご紹介させて頂きます。
※文中文字の色付けはブログ主による



**************************************************
(ここから)


カナリアの気嚢ダニの症状と治療
カナリアを多数羽飼育している方から、最近呼吸器病が多発して、咳とプチプチ言う音が聞こえる鳥が次第に増えて来た。また次々と死んで行くという事で診察に来られました。詳細に経過を聞き取ると伝染性の様子を示しています。そこで、麻布大学 病理学教室の宇根教授に診断を依頼しました。一般的に想定される伝染病に付いて検査して頂きました。結果は以下の通りです。



カナリア:雌、羽毛色;オレンジ
肺 :ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)、
   鳥インフルエンザ(簡易キットで-)

肝臓:ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)

脾臓:ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)

腎臓:ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)

腸 :ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)

口腔S:ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)

クロアカS:ポリオーマウイルス(-)、クラミジア(-)、ヘルペスウイルス(-)、アデノウイルス(-)、鳥抗酸菌(-)、
      鳥インフルエンザ(簡易キットで-)
※注:クロアカ=総排泄腔


主な病原体は全て陰性でした。そこで宇根教授は、更に文献検索やダニの研究者に意見を聴取した結果、気嚢ダニに症状に合致する事が判りました。そして、送致して有った第2例目のカナリアの肺から大量寄生した気嚢ダニ(和名コトリハナダニ;Sternostoma tracheacolum)が見つかりました。これで確定診断が得られましたとの報告が教授から有りました。
https://ladygouldian.com/content/why-all-fuss-about-air-sac-mites に写真が有りましたので転載します。
※ブログ主注:記事投稿時点で上記リンク先は機能していません

Air Sac Mite Male


臨床的診断法
今までは本症の重要性を見落としていました。肺炎症状を呈する鳥では除外診断のためにも、臨床診断は重要です。鳥の頚を伸展して下方から耳鏡をあて、喉頭から頚下部まで順次透過して行くと黒い斑点として本ダニが見つかる事が有ります。気嚢ダニはカナリアとコキンチョウで最も感受性が高く、たのフィンチ類も感染の可能性がある。



治療法
文献ではモキシデックスの外用で、血液に移行した薬物が殺ダニ効果を発揮しその効果が1ヶ月持続するとあります。この製剤は海外製品としてはSCATT(スキャット)、入手するには1ヶ月程度掛かりますが直に発注しました。国内で手に入る薬物としてはアドボケートがあります。これは数日で手に入るので、先ずこれで治療を始める事にしました。



安全性の検証
体重1kg未満の鳥の薬物量は代謝効率体重で計算する事で良く実態を反映するとされています。それは体重(単位はkg)の3/4乗に比例する事が知られています。これで体重1kg当たり1mgの投与量を計算しますと

40gの体重の鳥では 比例では0.04mg/羽、代謝効率体重では0.08 mg/羽となります。
比例式よりも2倍投与する必要が有ります。セキセイインコ等。

30gの体重では0.03mg/羽、0.072mg/羽 すなわちブンチョウ等では2.4倍

20gの体重では0.02mg/羽、0.053mg/羽 カナリア、ジュウシマツ等では2.65倍

この薬物はイヌで体重1kgから4kg未満まで投与が指示されていますから、
カナリア等の20g前後の鳥には、4×2.65倍=10.6倍量の薬物まで安全といえます。臨床的には比例で計算した量から始め、効果の判然としない時は10倍量まで。増量できることになります。



臨床的治療法
イヌの治療量を鳥に適応して計算すると、20倍希釈して、40gの鳥に0.02mlを直接皮膚に塗布する事で投与します。鳥で、薬物の皮膚塗布の部位は背中か、翼の内側基部の羽毛を避けて直接皮膚に塗布。あるいは大腿部外側の皮膚。

集団飼育の場合にはコロニー全体を一気に治療する必要が有ります。また、1ヶ月後に再投与して治療の徹底を期する必要の有ります。

インフォームドコンセントとしては、投薬で死亡したダニが細い気管支や気道に塞栓して、呼吸困難が更に増悪する可能性と、それによる死亡の可能性がある事はしっかり飼主に説明する必要あります。また補助療法として通常の肺炎の治療も平行して進める必要があります。



他の治療に関する情報
SCATTならば1滴を肩か、翼内側の裸出部へ。
フロントラインスプレーの1滴を肩の付け根に塗布している報告もある。


謝辞:今回の症例は、麻布大学獣医学部病理学研究室 宇根 有美教授の全面的なご尽力で、原因究明に至りました。いつも積極的なご指導を頂ける事に感謝を表して御礼に代えたいと思います。有難う御座いました。



【追 記】
輸入薬のSCATT(スキャット)は1滴の裸出部への滴下が指示されています。決して過剰にならない様な投与の工夫が必要で、2滴では鳥が死ぬ恐れも有ります。
安全な方法としてはスライドグラスの上に先ず1滴落として、その全量を手袋はめた指先で鳥の脛足根部の皮膚に塗り付ける等の工夫が必要です。人の皮膚へも透過して薬物が吸収されますから、多数羽を一度に塗布する時は是非手袋をはめて、ご自分を守って下さい。
ダニが生きている間は気管あるいは気管支壁に密着して生活していますが、死亡すると壁から脱落して、呼吸で末梢へと集まって行き、気道を閉塞してしまいます。
多数のダニが寄生している症例では、死んだダニが気道を閉塞して症状の増悪と、死亡する事さえ容易に想像されますので、この事は飼主に予め承諾を得ておく必要が有ります。そうでないと治すつもりが、逆の結果になるかもしれません。

例えば、イヌの心臓糸状虫症の治療後に起こる危険と同じで、死んだ大きな虫体は肺動脈の末梢に詰まり、激しい咳とともに喀血を起こして、イヌが死亡するかもしれません。また、喀血しなくても肺動脈塞栓症で急死する事も有ります。消化管に寄生する回虫ですと、死んでも糞と一緒に体外に出てしまうので安全です。

こうした事が理解できる様に周知徹底して下さい。
当方で今回経験した症例では1羽のカナリアの気管支末梢にはダニがかなりの数で寄生しており、これに薬物を投与すれば、かえって直にでも死亡していたかもしれません。



中津 賞(なかつ すすむ)
中津動物病院院長 獣医師 獣医学博士
Susumu Nakatsu  DVM, PhD. 
NPO法人 野鳥の病院 代表理事
野生動物救護獣医師協会WRV 理事・大阪支部長
日本野生動物医学会 評議員
大阪府獣医師会動物救護委員会委員
〒590-0960 大阪府堺市堺区少林寺町西2-2-15 ☎072-232-6472
URL: http://www.nakatsuvet.com


(ここまで)
**************************************************


カナリアやコキンチョウを飼われている方、飼おうと思っている方。
また、フィンチ類にも感染の可能性があるそうなので、なかなか治らない気管支系の病気の時には
可能性の1つとして、治療法と共に覚えておいても良いかと思います。

また、平成12年1月15日〜16日 国際ローラーカナリークラブ連盟全国大会の配布資料でこの件の記載があり
日本でも関東や新潟を中心として本格的な徹底駆除の試みが行われています。
リンク先URL:http://roller011.web.fc2.com/siryo/doc/kinodani.htm

記載によると、このSCATT(スキャット)という薬剤は痛みを伴うものらしく、投与直後はもがき暴れることもあり、暴れた拍子に怪我をしたりしないよう注意が必要であり、また、鳥に寄っては薬の触れた部分の毛が抜けることもある
…と書かれています。


数年前、鳥友達のカナリアさんがこの気嚢ダニで落鳥してしまいました。
とても綺麗な黄色のカナリアで、もうすぐさえずり始めるところでした。

世界中のカナリアさんが、この病気を克服し元気に暮らせることを願ってやみません。





スポンサーサイト
拍手する

ベランダ・スーちゃんの保護〜07

スーちゃんロスから立ち直りつつあるので
保護スーちゃんの11月1日から11月3日・放鳥までの経過です。


*11月1日(水)
PB011480.jpg

リビングで放鳥中。ペンダントライトの配線ダクトの隙間に上手く止まります。


PB011481.jpg

止まる際にホバリングなどせず、一直線で狭い隙間に入り込みます。流石野鳥


PB011485.jpg

そんな様子を、不思議そうに眺めるるーとモイ(笑)


PB011490.jpg

ちぃちぃとは、割と近い距離にいても怖がりませんでした。
ケンカっぱやいちぃちぃも、特に行動は起こさずに見守っていました。



*11月3日(金)
PB031496.jpg

目に入っていた異物(シードの殻)を何とか取ろうとチャレンジするも
とうとう取ることが出来ず経過を見守っていましたが…どうやら自然に取れたみたいです。

この、異物が自然に取れることを確認した時、私(人間)が出来ることはもうないと思い放鳥を決めました。
本当は…放鳥しない言い訳を沢山考えました。
でも、どこかで区切りをつけないといけないし、野に返す…と自分で決めたことなので。


PB031498.jpg

活き活きとした目をしてます。


PB031502.jpg

栄養の問題なのか、それとも女の子だからなのか、上クチバシが(文鳥や男子スーちゃんと比べ)鋭角です。


PB031505.jpg

男子スーちゃんは、すっかり若鳥の風格です。


PB031540.jpg

ベランダの室外機の上で少し様子見中。


PB031575.jpg

もうすぐお別れだね…


PB031584.jpg

保護したときから比べると、少しは良くなったかな?


この後、ケージの入り口を開けて待つ事数分。
15時過ぎにとうとう帰って行きました。
※最後に動画を載せておきます


PB031614.jpg

空のケージが淋しいね…


PB031615.jpg

いつでも帰って来てご飯が食べれる様に、暫くここにケージは置いておくからね。


*11月3日(金)17時過ぎ
PB031627.jpg

少し薄暗くなり始めた頃。
屋上ににしばらく居たらしい女子スーちゃんが、一旦戻って来ました。


PB031629.jpg

室内から最大ズームで撮ったのですが、左脚の中指がないのと左の顔で女子スーちゃんだと分りました。
ケージには入らず、床に降りて何かをついばんでいましたが、直ぐにどこかに飛んで行ってしまいました。


11月3日のこの時が、女子スーちゃんを見た最後となります。


今でも心配で心配で、鼻をすすりながら文字を打ってます…
人間に対してはそうでもないのですが、こと動物に関しては思い入れが強過ぎて
発想が超ネガティブになるのが自分でも悪いクセだな…と自覚してます。
どこかで元気に暮らしている…と思い込もうとするのですが、最悪の事を想像してそれが出来ません。

先日ち&キ達のお薬をもらいに病院に行き、先生にスーちゃんの放鳥報告をした際も
心配で心配で…と言ったら「そんなに心配するなら保護しなきゃ良かったのに〜」と言われてしまいました。
そうなんですけどね…
でもね先生、あの状態のスーちゃんを放っておくなんて事、とてもじゃないけど出来ない性格だし、
1度はケージから出かかったけど、引き返して中に戻ったのを見てるので…余計にね。



*11月5日(日)
DN2aijbUMAAeo7l.jpg

11月4日。
前日の放鳥後にケージを綺麗にしておいたのですが、お昼頃に見てみると粟穂の殻が落ちていました。
スーちゃん達が来てくれていたんだと思いワクワクしながら待ちましたが、この日は姿を確認できず。
翌5日、外のケージからカシャカシャ音がしたので見てみると、男子スーちゃんでした。


DN2aijdUEAAmNzy.jpg

カメラを引っ掴みベランダに出て、ケージの入り口で写真撮影。
ペアっぽい2羽のスーちゃんと一緒で、2羽はベランダのスロップシンク内に置いてあるご飯を食べており
男子スーちゃんだけ、ケージに入ってご飯を食べてました。


DN2aijcUIAAZ1sK.jpg

ちょっとビックリしながらも、お気に入りの粟穂や粉末ミルワームを食べてました。
元気そうで良かった…

今日現在まで、男子スーちゃんとペアらしき2羽の3羽で、毎日ご飯を食べにきてます。
ケージに防寒カバーをかけたので、中に入ってご飯は食べなくなっちゃいましたが…

男子スーちゃんは元気に過ごしてることが分りホッとしてますが
そんな男子スーちゃんを見ると、どうしても女子スーちゃんの行方を考えてしまいます。



*11月3日(金)放鳥






どこかで元気に暮らしていて欲しい…。
心の底からそう願います。




拍手する

ベランダ・スーちゃんの保護〜06

11月3日に、放鳥したスーちゃん達。
10月21日以降の経過です(全然リアルタイムじゃないですね)


*10月22日(日)
PA221385.jpg

右目側。5本ほど立派な口ひげが…


PA221386.jpg

左目側。


PA221387.jpg

男子スーちゃん。本来ならこんな丸いお目々なのにね…。


PA221388.jpg

喉のネクタイもだんだん立派になって来ました。


PA221389.jpg

クチバシも立派。


PA221396.jpg

女子スーちゃんは左が見えないので、この様に首を回して右目で確認します。



*10月23日(月)
PA231405.jpg

この日はお天気だったので日向ぼっこ
文鳥達と同じ小松菜と青梗菜をあげてましたがよく食べます。


PA231411.jpg

砂浴びは必須で日に何度も浴びます。水浴びは…する時としない時があります。
砂浴び→水浴び→砂場で砂に水分を吸収させる…って感じのローテーションで
結局砂だらけになるのですが、乾かすのが下手です(笑)



*10月24日(火)
PA241413.jpg

ケガのせいなのかお薬のせいなのか、栄養的に問題があるのか、全体的に羽の生育がよろしくないです…。


PA241414.jpg

左側もちゃんと羽が生えてくるといいね…。



*10月25日(水)
PA251419.jpg

正面顔は、鳥種にかかわらず可愛い



*10月26日(木)
PA261425.jpg

砂浴びをすると、どうしても目に砂が入ってしまいます。
水浴びすれば流れるのですが、水浴びしない時は洗ってました。
案外薄毛で、かつ見事な鳥肌…


PA261426.jpg

濡れるとおハゲちゃんです。



*10月28日(土)
PA281462.jpg

目の中の白い膜が成長しているように感じます。


PA281466.jpg

砂浴び後、こんな風に砂が入ってしまいます。



*10月30日(月)
PA301473.jpg

今度は目の中にシードの殻が…



*10月31日(火)
PA311475.jpg

あぁ  まだ入ってる。。。


PA311477.jpg

凛々しい顔つき。




07に続く(次回で最終の予定)




拍手する
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。